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〈医師に聞く〉ガンよりも患者数多く死亡率も高い“心不全” 悪化しても症状がないことも【新潟】

2021年11月24日 18時30分更新

新潟県医師会広報委員会の協力で毎月お伝えしている「医師に聞く」。

今回は今後社会問題になることが予想される「心不全」についてです。ガンよりも患者数が多く、死亡率が高いことを知っていましたか?

【新潟大学大学院 医歯学総合研究科 循環器内科学分野 猪又孝元 医師】
「現在40歳の方は一生の間に“5人に1人”は心不全になる見通し。決してまれではない。今の新型コロナのパンデミックが終わったら、『心不全のパンデミック』が来るだろうと予想している」

『心不全パンデミック』を予想するのは、新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学分野の猪又孝元主任教授です。

心不全の患者は全国で120万人を超え、2030年には130万人に達すると推計されています。

猪又教授が問題視するのは、ガンよりも患者数と重症化した時の死亡率が多いにも関わらず、理解度が低いことです。

【猪又孝元 医師】
「肌感覚として、循環器の心臓病のベッドの半数以上は、心不全の患者で埋められている。これだけ多くの人が困っている。ただし社会に十分伝わっていない」

心不全とはどういう状態なのか、改めて見ていきます。

私たちは血液を心臓というポンプを使って全身に送り出すことで生きていますが、心不全になると、このポンプ機能が損なわれ、臓器が必要な血液を十分に送り出せなくなります。

その原因としてあげられるのが、心筋梗塞などの病気や高血圧。年をとることや、生活習慣病も大きく関係しています。

それでは、心不全になったらどのような症状が出るのでしょうか。

【猪又孝元 医師】
「1番簡単なのは体重が増えること。1週間で2kg。いい大人が1週間で2~3kg太らない。急に太った場合は、それだけ体液量が増えて心臓に負担がいくので、なるべく早くキャッチする」

【杉山萌奈アナウンサー】
「体重が増えると、息切れが起こりやすくなります。運動した時だけでなく、靴のひもを縛るなどかがんだ状態になった時にも、息が切れることも心不全の初期症状です」

しかし、“息切れは年のせいだ”と思って見逃してしまう人が多いと言います。

【猪又孝元 医師】
「突然寝ている時に息が苦しくなって、布団の上でガバッと起き上がると楽になるという、すごく特徴的な症状がある。ただこれはかなり重症」

悪化すると現れる典型的な症状は、ほかにも。

立つ・座るなど首を上に据えている状態で皮膚が拍動し揺れて見える。この症状は心不全のみに現れます。

【猪又孝元 医師】
「3秒で診断がつく。首の皮膚が揺れている人はかなり進んだ心不全。ぜひ首を見て、判断の一助にして頂きたい」

心不全の恐ろしさは…初期症状が現れにくく発見が遅れること。

【猪又孝元 主任教授】
「命の源なので、心臓が悪くても、ほかの臓器が心臓の肩代わりをしようと協力してくれる。そのため水面下で病気が進んでいても、症状は出てこない。症状が出てきた時にはかなり進んでいる。後戻り出来ない、なんてことが心臓病はかなり多い」

悪化しているのに症状がない『隠れ心不全』を見つける方法はあるのでしょうか。

Q.毎年の健康診断でも発見しにくい?
【猪又孝元 医師】
「BNP・脳性ナトリウム利尿ペプチドという検査項目がある。通常の健康診断では含まれない項目だが、医療機関で保険診療で検査出来る。かなり有力な武器になる」

60歳以上はBNPを自主検査し、自分の数値を知っておくことが大切です。

そしてほとんどのガンとは違い、予防出来ることも覚えておきましょう。

【猪又孝元 医師】
「予防は出来ると思います。病気になってからの手立ては限られる。高血圧・糖尿病・肥満・喫煙は論外。そういうものを未然に防いでほしい」

【杉山萌奈アナウンサー】
「対策として、猪又医師は1日1万歩、最低でも6000歩歩くことを勧めます。冬の間はその場で足踏みすることやスクワットも効果的だと言い、足の筋肉を鍛えることが、心臓を健康に保つ極意だということです」

冬は血管が閉まり、心臓に負担がかかる季節。誰もが運動・食事などの生活習慣病の対策を行う必要があります。

【猪又孝元 医師】
「ガンにならなかった方、ガンを乗り越えた方は、必ず心臓と血管で命が決まる。そのためにも、心臓と血管をしっかり守って頂く対策を若いうちからされることが望ましい。生活習慣病管理を、厳密にやって損したということはない」