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平成最後の竜王戦2018年12月22日

こんにちは。
竜王戦が終局しました。
7番勝負は最後までもつれ、最終局で広瀬章人八段が勝利し新竜王に。
一方敗れた羽生前竜王は27年ぶりにタイトルを失いタイトル獲得記録も99期でストップしました。
レベルが高すぎて私には趨勢が理解しきれませんでしたが、それでも終盤の苦しさは、ぎゅっと目を閉じ、うつむいて額を右手で抑え、頭から何かを絞りだそうとするかのように苦悶する羽生前竜王の姿から十分すぎるほど伝わってきました。その中でも最後の最後まで指しきる姿を見せてくれたのでした。ファンにとっても忘れられない竜王戦となったのではないでしょうか。平成30年間のうち27年連続でタイトルを保持、まさに平成とは羽生前竜王の時代。その平成が幕を閉じるこの時に将棋の歴史も移り変わるというのは不思議な気もします。間違いなく永遠にその名が残る伝説の大棋士と同じ時代にこの世にいることができるのはやはり幸福です。みんなが期待する100期目のタイトル獲得を近く達成してくれると信じています。
また一方でこれまでなかなか脚光を浴びることがなかった広瀬章人新竜王の2つ目のタイトル獲得も大いに讃えられるべき快挙。「タイトル100期がかかる羽生前竜王への挑戦者」という肩書を背負うことを余儀なくされ、やりやすいわけがなかったこの7番勝負。このタイトルを勝ち抜いたことこそが何よりその強さの証明となったはず。実は今年、藤井聡太七段と「第11回朝日杯将棋オープン戦」の決勝で対局し敗れたのが広瀬新竜王です。勝った藤井五段(当時)は中学生初にして史上最年少の棋戦優勝、史上初の中学生六段(当時)となり話題をさらいました。このように、広瀬新竜王は独自の戦型を確立しタイトルまで獲得しながらなぜか主役になりきれなかったのです。でもこれからは堂々の主役として将棋界を引っ張ってくれること間違いなし。ますます将棋界が楽しみです。

飛田厚史のブログ

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